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宦官―側近政治の構造 (中公文庫BIBLIO)宦官―側近政治の構造 (中公文庫BIBLIO)
(2003/03)
三田村 泰助

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 ドラマでは、岳掌門とうとうヤッチャイましたね。 あれですよあれ(笑) 「一剣で去勢す!」
 この本は中国史に関する名著です。 笑傲江湖を読んだ人は必読です(笑)。

 まず、「自宮の方法」。 清朝末期の資料から引用されています。

 『紫禁城の西門にあたる西華門を出たところに「廠子」(小屋)・・・・それが手術場・・・。 ここに「刀千匠」(執刀人)・・・・政府公認の専門家が数人いる。 彼らは宦官をつくることを生業・・・・数家族の世襲・・・』
 『手術の方法は、まず白い紐あるいは包帯で、被手術者の下腹部と股の上部あたりをかたくくくる。 また、陽物の切断をおこなうあたりを熱い胡椒湯で三度念入りに洗ったのち、鎌状に少し湾曲した小さい刃物で陽根、隠嚢もろとも切り落とす。 そのあと白蝋の針、または栓を尿道に挿入し、傷は冷水に浸した紙でおおい、注意深く包む』
 『手術後、三日間は飲水は許されず、・・・・三日たってその栓をぬくと、噴水のように尿がでる。 これで成功ということになり、祝う』
 『この乱暴な方法もほとんど失敗はない』

 
 考えてみたら(みなくても)、「誰にも気づかれず」「すぐに修行を始める」なんてアリエナイですね(笑)。

 つづいて『切断された代物の処置』です。
 『この代物を「宝」というが、刀子匠はこれにある種の加工をほどこし、・・・・高い棚に安置・・・・これを高勝(高位に昇進すること)と呼ぶ。・・・・本人または縁者が返還を求めてきたときにはこれを与える』
 『この「宝」を保存するのは、つぎの二つの理由による。・・・・宦官になって階級があがるときには、この「宝」をみせなければならない・・・・宦官が死んだとき棺の中に入れて埋葬する』

 東方不敗さんはじめ皆さんちゃんと一緒に埋葬してもらったのでしょうか(笑)

 そしてなんと「林平之はなぜ福建(福州)出身か」のネタです。
 『宦官の供給源』は、異民族奴隷、「宮刑」から、唐代に『民間からすでに去勢された人間を献上』させるようになったそうです。
 そしてその『特産地』は「広東と福建」だったそうです。 その福建では、

 『福建はまた男色の本場として、その名が天下にひびいていた。・・・・ここでは貴賎、老若をとわず男色に熱中・・・・契兄・・・契弟・・・・契弟がひそかに別の男と不義をむすぶことを意味する「田」のしたに「女」と書く奇妙な文字が特別に作られた・・・・片恋に終わったり・・・・無理心中をとげる。・・・・この福建人の奇習が、女形的技術を彼らに習得させ・・・・宦官の出世に役立つ』

 第一章で青城派の連中が美男子「林ちゃん」を「女形」とからかうのはもとより、寧女侠が初対面の時「科挙をうける文人みたい」と仰ったのも「わかって言った」のでしょう。 また、「辟邪剣譜」が福州の林家に伝わったのはやはり「根拠あり」でした(笑)。

 さて、この本は、こういったネタが主ではなく、「宦官とは」、にはじまり世界史的概説、宦官をめぐる朝廷の政争、最下層から脱出する究極の手段とせざるを得ない時代の悲喜劇、など中国史・文化論が展開されています。 文章の歯切れがいいです。 「ジェンダー」なんて横文字を使うより、中国史のこういった面を盛り下げることが面白いと思うのですが。

 『祭政一致』『神の代弁者として』発足した『君主』と、『すべての人間関係から切り離されたこの世の無籍者』で、日常は『男でも女でもなく、大人でも小人でもなく、悪人でも善人でもない・・・・一度うらがえすと今度はそのすべてでもある』『宦官』が、『形とその影』である、といっています。
 良かれ悪しかれ「宦官」が栄えた漢・唐・明代の、宮廷における・王族・女官・諸臣を含めた魑魅魍魎ぶり。 明代に宦官の募集三千人に対し、自宮しての応募者が二万余人いたなど。 ・・・・。 

 また、最終章では、清朝滅亡後「亡びたはずの宦官」ではあるが、現代の「組織に支えられた権力」において「権力に直属して情報を独占する側近グループ」が「宦官的存在」として無縁ではない、と締めくくっています。

 日本は世界でもまれな「宦官」が存在しなかった社会だそうです。 「宦官的」なものはいたるところにいると思いますが、この本のエピソードを読むと「スケールは遥かに小さい」ですね(笑)。

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