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百戦奇略―中国兵法の真髄 (学研M文庫)百戦奇略―中国兵法の真髄 (学研M文庫)
(2001/12)
劉 基

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 ドラマの前回から含め、笑傲江湖の最大の見せ場(沢山あるけど)『嵩山会議』ですね。 三章分・本一巻の半分がこの場面に充てられており、何度読んでも面白い場面です。 さすが政治学者・ジャーナリスト兼武侠小説家、金庸先生の傑作です。 少しでもその真髄にふれたいと思い以下まとめてみました。

1.嵩山会議時点の門派別パワーバランス(嵩山を10とする)
 門派/項目    掌門武力  門派勢力  総合力      *印特記事項
 1)嵩山派       10      10*    10       悪人助っ人含む 
 2)華山派       7(12*)  4       5(8*)   カッコ内岳不群「辟邪剣法」織り込んだ場合
 3)恒山派       8*      5      7*      令狐冲は剣術限定の強さ、総合力では弱い
 4)泰山派       2*       4      2*      天門道人除く
 5)衛山派       5        2      3
 ・嵩山派にはどこも単独では勝てない  ・嵩山+泰山=華山+恒山(ほぼ互角均衡)  ・衛山がキャスティングボートのはず
 ・ただしこれには「戦略企画力」は入っていない。

2.各門派・掌門の思惑 (併派への賛否など)
 1)嵩山派  併派・左冷禅新総帥実現が必須 今後のライバル除去画策     
 2)華山派  実は併派賛成・岳不群新総帥に挑戦 岳総師NGなら統一拒否もあり
 3)恒山派  併派反対 分裂内戦覚悟 やむを得ず併派の場合も左総帥就任反対 掌門に権力欲無し
 4)泰山派  併派・左冷禅新総帥賛成 天門道人排除必須(嵩山派裏工作済み) 統一後も勢力を確保
 5)衛山派  併派反対 やむを得ず併派の場合勢力を確保
 6)少林派・武当派他 自派への影響から併派・左新総帥に消極的
 7)日月神教(任新教主) 併派又は分裂であろうと五岳剣派全体での弱体化を期待
 8)任盈盈  併派のうえ令狐冲を新総帥に据えたい。 さて目的は?

3.嵩山会議までの情況
 1)嵩山派  「力づく」で併派・左新総帥の仕掛けを数々遂行、満を持しての会議開催
 2)華山派  門派としての力は急速低下 見かけ反対を装い、岳掌門が起死回生の策を準備中
 3)恒山派  三師太が暗殺され壊滅の危機を令狐新掌門が支える 反併派の旗頭を自他共に期待
 4)泰山派  嵩山派の裏工作で「玉」一派のクーデター準備中
 5)衛山派  劉正風の粛清で主要門下も壊滅 莫大先生頼り
 6)少林派・武当派  併派・左新総帥回避のため恒山派令狐新掌門が動くよう根回し
 7)日月神教(任新教主) 盈盈が令狐新掌門の為に活動しているのを承知で放任 結果はどうあれ漁夫の利は我がものと判断
 8)任盈盈  情況は令狐冲に不利と見て色々と戦略を準備

4.会議の動向とそこからみえる各派の戦略およびその成否・評価
 1)衛山派莫大先生が「併派に異議」を唱えるが、「誰も知らないはず」の嵩山派費彬殺害をネタに左冷禅に言い負かされ撤回。
 *キャスティングボートとして他門派と連携する手もあったろうし、異議申し立てを最初に切り出したのも失敗。 莫大先生が自己の「面子」を立てるためだけに「異議」を唱えたと思われる。 費彬殺害ネタをこれまで復讐などせず押さえ、ここで出してくる左冷禅の作戦勝ち。 これで併派後も発言力・勢力確保は難しい。
 華山派(岳不群)が真に「併派反対」なら反対の衛山派と連携したろうが、しなかった。 つまり岳不群は最初から「併派に反対ではなかった」

 2)泰山派天門道人が「併派に異議」を唱えるも、完璧に準備されたクーデターで「玉」一派に権力が移り、泰山派は賛成にまわる。
 *なぜ事前ではなく席上クーデターにしたか?、 事前にあまりにも「悪辣」にやると、当日までに批判が巻き起こり周囲から否認されたり仕掛けた嵩山派にも悪影響あり、席上では力づくでやっても流れで他の決め事とともに承認されてしまう、と読んだと思われる。 この辺は面白い。
 両派互いに思惑通り、泰山派はキャスティングボートのつもりだろうが、事が済んだら何かをネタに滅門させられるだろう。 

 3)左冷禅が、「併派賛成」が恒山派亡三師太の意見だったと「力づくのハッタリ」をかますが、桃谷六仙の乱入(背景は前記)による「論戦(笑)」の展開により否定される。
 *盈盈=桃谷六仙が良いタイミングで論戦に参戦し、諧謔と皮肉・揚げ足取りを連発した。 盈盈の戦略はまとめて後述。

 4)恒山派令狐掌門が、「併派の賛否は華山派岳掌門の意見に従う」旨意思表明。
 *令狐掌門は会議前に岳掌門と会い、門派への復帰を「謎かけ」られ、約束してしまった。

 5)華山派岳掌門が、意外にも「併派に賛成」の意思をもったいぶった論理展開で表明。 併派で会議の大勢が決する。
 *岳不群はこれまで「反対」と明言も行動もしてませんね。 らしく振舞っただけ。 もっともらしい演説はお見事・・・。

 6)左冷禅が新総帥であるべきと議論が展開するが、盈盈=桃谷六仙が玉璣子四つ裂き未遂など含め必死の論戦で流れを恒山派・令狐冲に有利なように展開。
 *この辺は盈盈=桃谷六仙も必死ですね。 瞬間的な切り替えし、ネタフリは見事。

 7)令狐掌門は「岳不群を新総師に推す」。
 *令狐冲は岳不群が反対であると思い込んでいたが読みが甘かった。 しかし、「情」に流されたとも思える「併派の賛否は華山派岳掌門の意見に従う」「岳不群を新総帥に推す」は、戦略としては間違っていない。 これも後述。

 8)桃谷六仙の発議で新総帥は「剣術の試合」で決めることに決定。
 *剣術のみでは令狐冲に勝ち目がある為、流れとしては最善の結果。 この辺までは盈盈の読み筋か?

 9)岳不群・霊珊の論説で「試合のルール」が決定。 それは、
 『岳霊珊が各剣派の剣術をもって各派の代表と戦い、勝ち残れば「岳不群」が新総師となる。』

 *評価:ここまで会議の流れを引き寄せたこと、そしてこのルールこそ岳不群の深謀遠慮であり、「あれ」を最大限に発揮・活用する方法である。
<ポイント>
 ・一見岳霊珊が勝つはずがないルール。 よって、相手は「ハンディ」をつけざるをえず、「恥ずかしい勝ち方」では「面子・沽券に係わる」し、もちろん負けるわけにいかない。 相手方のプレッシャー大。
 ・華山の思過崖洞窟に魔教長老が書き残した、「現存しない各剣派の技」と「各剣派を破る術」を付け焼刃ながら駆使する。
 ・天門道人亡き泰山派には「出し抜いた」形で勝ちあがれるであろう。 切り札「岱宗如何できるフリ(笑)」
 ・衛山派莫大先生は「精神的ハンデ」でプレシャを掛けよう。 切り札「目下をイタブルか、負けたフリ(笑)」
 ・唯一これを知っている(と思われる)令狐冲は、華山派への復帰という餌と、丘霊珊への「情」を目一杯悪用しよう。 これで令狐冲は霊珊に「勝てない」はずだ。 霊珊を「殴る」など令狐冲を徹底挑発する。  切り札「未だ愛してるフリ(爆)」
 ・戦いの順番は前記の通りで、最後は嵩山派左冷禅でなくてはいけない。 ここまでで左冷禅もかなり「混乱」するはずなので、詭弁・騙し手を駆使し何とか互角に持ち込もう。
 ・左冷禅が力づくできたら岳不群自身が「あれ」で最後勝負! 左冷禅も「あれ」を習得しているらしいが、「ニセモノ」であるのは間違いない。 「あれ」=「辟邪剣法」ですね。

 10)岳不群:『この日の為に、少林寺で令狐冲に決闘を挑み負けて激怒しわざと足の骨を折るなど、「恥を忍んで」「義に反して」色々仕込んできたんだ。 そして「武林稱雄,揮劍自宮 」人間性まで捨てたんだ!』  絶対に私が勝つ!   そして・・・・・・・「勝った!!」

 岳不群は旧各派に「気遣い」まで見せて、阿諛追従の聞こえるなか新総帥に就任するわけですが、最後皆が嵩山から下山していく際、
 『ふいに背後から女の声がした 「偽君子!」 』 と声が掛かります。 誰が言ったか明白です。

 今回は小説のプロット通り辿ってきましたが、次回「偽君子」と叫んだ彼女の戦略、令狐掌門の意志表示の是非など色々な事をまとめてみます。
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