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戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する (中公新書)戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する (中公新書)
(2002/09)
梶井 厚志

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この本は結構評判良いようですが、マニュアル本や解説本でもなく、単なる用語集です。 その用語は結構わかりやすくまとまっていますので参考にさせていただいています。

 さて、『嵩山会議』ですが前回の現場検証、および前々回記事より続きます。
 
 この五岳剣派「併派」の会議は、左冷禅が散々悪辣な仕込をした上で満を持して設定したものです。 そして、形勢が「合併反対不利」は明白で、令狐掌門はじめ「正派ならぬ正義派の面々」はどうなるでしょうか? 興味津々です。
 ここは、戦略という「理」の世界と、愛憎などという「情」の絡みとが見所です。
 結果は、怒涛の論戦・激闘の末「ええええ!アイツが、何で?」、唖然騒然茫然自失(笑)というわけですが、岳不群が周到な準備と血の滲むような(というか本当に血を流した)努力をしてきたのはご承知の通りです。

1.岳不群の戦略 は簡単に纏めると
 1)「君子剣」といわれる名声も利用し、やむを得ずしかし道理を通して「併派に同意」する。
 2)パワーバランスを嵩山派+泰山派と均衡させておくため、三師太暗殺の結果滅門したはずだが、令狐冲が掌門になったため勢力を保持している恒山派を敵に廻さない。 そうするとギリギリまで「華山派は反対」と思わせる必要がある。
 3)新総帥選びは、左冷禅に一方的に決まらないよう論戦し、思過崖洞窟の壁画という切り札を最大限活用する為にも剣術の試合(比剣)に持ち込む。
 4)最後は自ら「辟邪剣法」でカタをつけ、「信用された状態」で新総帥に就任する。
 5)新総帥就任を全ての「情」や「義」より優先し、かつ利用する
 自分の権力欲には「すべてを利用する」という悪辣さです。

 今回の令狐掌門はじめ恒山派の闘いは実は盈盈の戦略に副ったもので、この結果はぎりぎり「善し」の結果であり、少なくとも途中までは任盈盈の「戦略どおり・読みすじ」だったと思われます。 それは以下の点からです。 あれだけ令狐冲に「情」をそそぎ、東方不敗征伐でお世話になった彼女が、この会議での戦略に最大限の尽力をしないはずはないでしょう。

2.任盈盈の戦略 まあ後付ですがこんなところだと思います。
 1)泰山派は買収され「併派・左新総帥」に賛成、衛山派は力にならない。
 2)大勢は「華山派」と「恒山派」がどうするかにかかる。 併派反対がスジだが、反対だけでは嵩山派に潰されるだけだ。 岳不群は安易に左冷禅の軍門に下るのか? それとも闘うのか?
 3)情報では岳不群が「辟邪剣法」の修行に取り組み始めたらしい。 「辟邪剣法」が「葵花法典」と同源とすれば、東方不敗と同じ修行をするであろう。 これはスキャンダラスなことではあるが、戦力は相当高くなる。
 4)とすれば、岳不群は何らかの形で「逆転」を狙うだろう。 そのシナリオは左冷禅を一見フェアに潰すことだ。 令狐冲を上手く利用したいだろう。 手順は、闘い=>併派では遺恨が残る。 スジを通した併派=>最終決戦 だろう。
 5)令狐冲は未だ岳不群への敬意・復門の意思・霊珊への想いは強く残っており、岳不群から仕掛けられたら、或いは自ら華山派につくと言い出すだろう。 よって令狐冲には「岳掌門は反対派」と思わせておこう。  華山派と組めば安易に押しつぶされないだろう。 ただ、令狐冲の「情」を尊重し、「理」の為に「情」に反することはさせない、「情」を「理」に利用しない。ようにしよう。
 6)私は表に出られない。 よって「桃谷六仙」を遠隔操作して、何とか論戦を勝ち抜こう。
 7)併派の際の新総帥決定方法は「実力勝負」、それも令狐冲が一番有利な「剣術」としよう。 生き残るチャンスはこれだけだ。
 そして、仮に岳不群と令狐冲が闘うことになり岳不群が「辟邪剣法」を出してきたら、自ら表に出その内容と悪辣さを暴き、敗れても令狐冲に殉じよう。 「辟邪剣法」が何たるかは、武林で一番信用のある方証大師達が彼らの立場からして暴いてくれるはずだし、皆信用してくれるだろう。 と覚悟を決めていたと思います。
 しかし、あの岳霊珊を仕掛けに使った比剣の作戦までは予想していなかったでしょう。 今の令狐冲が霊珊に「勝つはずがない(勝とうとするはずがない)」のがわかったとき、盈盈の戦略は終わり「桃谷六仙」の遠隔操作による「論戦」も終わったのです。

 そして、令狐掌門の「併派の賛否は華山派岳掌門の意見に従う」「岳不群を新総帥に推す」という、一見「情」に流された、状況判断・読みを間違ったような方針は「誤り」だったのでしょうか?
 いや、パワーバランスの均衡計算、先手をうつというコミットの点から、そして読みスジでもありますが、会議という場で江湖・武林全体に、令狐掌門の「人間性」を「良い方向へ印象付けた」、岳不群に「貸しを造った」という点で、そして、「善良なる敗者」として会議を終了できたことで、間違いではないと思います。

 会議の最後に 『ふいに背後から女の声がした 「偽君子!」 』 と声を掛けたのは、『「情」を「権力獲得の理」に利用した岳不群の「本性」』の全てのいきさつを知る「盈盈」だと思います。 
 また、盈盈が令狐冲の「情」を尊重したことは、「自ら先には裏切らない」という「義」を尽くしたことでもあり、異型の亡者と化した岳不群への「情」がうすれた令狐冲にとっては、拠りどころとして強くなっていきます。 しかし、哀しいかな岳不群の「悪」はさらに悲劇を生むわけですね。

 次章は暫くは「情」の世界ですね。

 余談ですが、疑問があります。 アレだけ周到に準備した「比剣」の作戦を実行するには、何が何でも「比剣」の実行までこぎつけなくてはならなかった岳不群ですが、実際は盈盈・桃谷六仙に誘導され「比剣」になったわけです。 では岳不群はどういう手を使って「比剣」に持ち込もうと計画したのでしょうか??
 実は阿銀先輩の記事にあったように「不群と盈盈は裏で通じていた」・・・なんて(爆)

嵩山会議の段はこれで終わります・・・・。
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