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恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)
(1970/12)
菊池 寛

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 仇討ちモノといえば「赤穂浪士」「鍵屋の辻」などお馴染みですし、大衆小説の定番のお題なのは日中とも変らないようですね。 金庸を読み出す時、ぼやっとした先入観で、中国的「菊池寛の世界」があるのかなと思っておりました。 かなり違うのですが、その違いはナンタラとなるとややこしいので、閑話休題・・・。

 小説もドラマも、嵩山会議から一気に林平之の復讐劇へ突入です。 この闘いのシーンはフェイクの多い金庸にしては、かなり真に迫った「リアリティ」たっぷりのシーンです。 以前、メタ言語化した武闘シーンという話をしましたが、あれは小説の作意上「理」から入った文章表現で感じるところで、この様な徹底した「情」のシーンは、その文章の書かれるままに浸るのもいいと思います。 但し、この構成はかなり「理詰め」ですね(笑)。
 また、ドラマではアヤフヤになってしまいますが、林平之の余滄海と木高峯への、阿鼻叫喚・屍山血河の復讐戦とともに、令狐冲と盈盈・霊珊そして林平之の愛憎劇が平行して進行していくわけです。 時間がなかったら「第六巻」だけ読んでも十分面白いです(笑)。

 令狐冲は、霊珊を何とか助けたいとおもいつつ、
 『林平之が霊珊を「復讐劇」の為に利用してきたこと』  『霊珊がそれでも平之への「情」を切らないこと』 を感じ、霊珊が『自分から遠く離れた存在になっていること』を悟ります。
 闘いの後、盈盈に気を遣い霊珊達を追い助けるのをやめようとしますが、『一生悔いを残さぬように』助けに行け!と云われ思い直します。 変装をする愉快な会話で心の安静を取り戻し、湖畔で休憩しやすらぎを覚えつつ「ふうっと」霊珊への想いが吹っ切れます。 以前書いた好きなシーンです。 ドラマではカットされているので残念です。 金庸は恋愛描写は上手いと思わないのですが、闘いを巡る一連の出来事と各人の心理が、「激闘・陰惨」と「葛藤」、「静寂・諧謔」と「平安」、対比・連動していく描写には「グット」きました。

 最後に、林平之の立場からしたら、
 ・どう考えても「華山派・岳不群」全体が陰謀で俺を取り込み「辟邪剣譜」を奪いに来た   ・霊珊も「美人局」的に俺に近づいたのだ   ・令狐冲も魔教の女とつるみやがってわかってやってるんだろう   ・余滄海も岳不群も左冷禅も皆々つるんでるんだろう、世の中皆俺の敵だ!  ・一番えげつないのは岳不群だ、利用されたのなら霊珊を利用し復讐してやる その為に「武林稱雄,揮劍自宮」人間性まで捨てたんだ!
 と想ってもしょうがないですね。 可哀想な林ちゃん・・・のはずなのですが、彼はやっぱり悪魔に魂を売ってしまったわけです。 霊珊の愛情は・・・。
 悲劇の次回です。

追: 青城派は、平之の襲撃に対し、霊珊を集団で襲い何とか形勢挽回を図り、これに令狐冲が激怒するんですが、盈盈は「東方不敗に勝つのに同じ手を使ったジャン」とイケシャアシャアと言い放ちます。 そう、「情」を「権力闘争」に使ったということで、一番悪辣なのはあんたですぞ盈盈さん!(爆)
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