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 反清復明の秘密結社『天地会』に「成行き」「ご都合」で入ったというか「香主」に据えられてしまった小宝です。 実在した伝説の英雄「陳近南」総舵主との「擬似親子」的交流がしんみり描かれてましたね。 このシーンは、もう少し「オチャラケ」に描くかと思ってました。 近南も自分とはまったく違う性格の悪ガキに、妙な魅力を感じたんでしょうね・・・、利用してやれ、とは思いつつ。
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 歴代、「三枚目系」の小宝役に対して「二枚目・体育会系」の雰囲気の近南役ですが、今回はシャオミンに比す為、重厚な雰囲気の近南総舵主です。 良い雰囲気です。

 小宝は、早速「俺の親父は「楊州十日」で殺された!」などハッタリかまして、「計算合わんぞ!」と突っ込まれてましたが、「俺は利用されてる」なんて処をすかさず「読んで」しまうのは「天賦の才能」ですな。

 さて、伝説かつ実在したらしい「天地会」ですが、具体的に名前を憶えたのはこの本です。 こういう本では随一の岡田先生です。 色々資料や元ネタを紐解いて書かれているんでしょうが、一読は「見てきたような嘘」みたいな話です。
中国意外史 (Shinshokan History Book Series)中国意外史 (Shinshokan History Book Series)
(1997/09)
岡田 英弘

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 「国民党も共産党も天地会系」みたいなフレーズで、一瞬驚いたものの、まあ、今の政権に盾突くなら大きい意味で「秘密結社だよね」ということで。

 そして、最近図書館で借りて読んだのはこれ。
中国の秘密結社 (講談社選書メチエ)中国の秘密結社 (講談社選書メチエ)
(1998/09)
山田 賢

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 色々ネタ話は多いのですが、結局何が言いたいのかよくわからない本でした。 wikiに「中国の秘密結社」というカテゴリーまである(笑)ので、個々の用語・出来事の内容は省略します。

 「秘密結社」なるものは、この本で引用している孫文が著作というか演説集「三民主義」の一節で、恣意的に解釈、位置づけ、評価していることが色々な「ネタ」になりやすいのでしょうね。 原典の文脈がよくわからないのですが、面白いので孫引きします。

 順治帝が明朝を破ってはいってきて、中国の主人になると、明朝の忠臣義士は、各地で抵抗にたちあがりました。 康煕の初年になってもまだ、抵抗するものがあったのです。 ・・・・康煕の末年以後、明朝の遺民は、ようやく姿を消していきます。 なかでも民族思想の豊かな人々の一派は、大事去れり、もはや満州に抵抗しうる力はなくなった、と感じ、そこで社会の状況を研究して、会党を結ぶという方法を編み出しました。 ・・・(中略)かの思想のある人々は、もっぱら文人にたよって民族主義を維持することは、不可能であることをさとった。 そこで下層社会の者と帰る家無き渡世人とをかき集めてきて、団体を結び、そういう団体のなかへ民族主義を入れて保存したのであります。
 ・・・(中略)中国の民族主義は、清のはじめ以来、長いあいだ保存されてきましたが、左宗棠が大龍頭(会党の頭目)となってのち、かれはその間の事情を詳しく知ったので、碼頭を破壊し、会党の機関はみな消えうせてしまった。 こういうわけで、われわれが革命をやるときになると、用いうべき機関がなかった。 この洪門会党はみな、人に利用されていた。 それゆえ中国の民族主義は、とっくに滅びてしまったのです。


 ここでいう「民族主義」はあまり難しく考えず「打倒清朝・漢族中心の政権樹立」という限定的意味と解釈しておきます。 しかし、この一節はあらゆる点で無茶苦茶な展開ですね・・・。 「左宗棠が大龍頭(会党の頭目)となってのち、かれはその間の事情を詳しく知ったので、碼頭を破壊し」なんて、もっと具体的に突っ込んで読んでみたい所です。
 武侠小説群、もちろん『鹿鼎記』のモチーフは明らかにこの一節によっているかな(笑)・・・と思います。

 私の勝手な解釈も加えてますが、この本の記事を中心に以下雑記です。
1.「秘密結社」の定義というか、何をもって秘密結社というかはこの著者はこう記しています。
 1)秘儀-秘密の存在
  結社の内面(秘儀・目的・現況・活動・メンバー)が「外部」の視線を拒むこと。
 2)試練と誓約をともなう加入儀礼
  裏切ったときの厳しい罰則と表裏一体。
 3)広範囲な相互扶助の実現
  会員は相互に「兄弟」。 初対面・未知の人間同士でも助け合う。 その認識の為の手段が「符牒」など。

 秘密結社の「中身」が明確にわかったら「秘密」じゃないわけで・・・。 小宝みたいツマンナイツッコミはさておき・・・。 そういえば、今回は「鳥の頭をキッ飛ばして血をすする」みたいな入会の儀式が描かれてませんでした。

2.「秘密結社」と社会構造
 1)清代から現在に至るまで中国社会には、農耕社会の特徴である村落共同体など「場」の自己完結的ピラミッド構造「タテ」社会と、「場」を横断的貫く「ヨコ」のネットワークがある。 「ヨコ」のネットワークは、日本に比べ格段に強い。
 2)「ヨコ」のネットワークは「資格」社会であり、資格とは、「同姓(宗族)」「同郷」「宗教結社」、そして天地会のような「会党」がある。
 図にすると以下の通り、(本の図を少々脚色)
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 以前『笑傲江湖』の記事で取り上げた本と関連します。
 私としては、この「タテ」「ヨコ」構造は中国が独特なのではなく、日本が希薄なのが特殊と思っています。

 中国の洪門とも呼ばれる清末以降の秘密結社は、かつての「宗教結社」「白蓮教系」と「羅教」の流れが大きいとのことです。
 白蓮教は「マニ教」・「弥勒仏信仰」「王母信仰」などが「ごちゃ混ぜ」になったとのことですが、これらの宗教系の要点は、教義・経典云々より、「現在の苦しみは救世主が現れて救われる」という1点です。 つまりもっていき方で「現在政権打倒・新政権樹立」のお題目になる訳です。 太平天国も然り。 政権側がこういった「秘密結社」が描かれるドラマや小説に敏感になり「検閲」など考えてしまうのは当然ですね。

マニ教(摩尼教)は「明教」とも言われ、「明」王朝名の由来であると言われているらしい。 この「明教」ですが、金庸小説では「倚天屠龍記」に「モロに」登場するし、「笑傲江湖」の「日月神教」も「らしく」造られています。
 鹿鼎記も、こういった公式どおり「宗教系」=神龍教、会党系=天地会、と二つの流れを「押さえて」います。 中身は、まあ大法螺話ですから・・・。
 余談ですが、マニ教の金庸小説からみの面白いお話はここからリンク

 清末からの「政権崩壊・再構築」の時代に、革命側の国民党・共産党だけではなく「守る」側も、「ヨコ」社会としての会党を利用しようとした、或いは逆に助けられたのは、この本で色々な事件・エピソードが紹介されています。 上の図の三角形の複合構造が「弱まった」としたら、支えるも潰すも、頼りになるのは「ヨコ」社会ということでその通りだと思います。 唯、「タテ」支配を取って代わろうとする側がどんな「お題目」で迫ろうと、「ヨコ」は結局「飯を食わせてくれるか否か」という一点でのみ判断され機能するのだとおもいます。
 そして、「替える」側が求めた成果を得て「安定」志向になれば、この「ヨコ」社会は逆に「不要」「危険」なものに看做され、一気に逆転「禁止」「迫害」「殲滅」されるべきとレッテル貼りされてしまうのは、歴史の証明する所です。 これとかこんな現在進行形の色々な問題があるのですね。

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