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アニマルスピリットアニマルスピリット
(2009/05/29)
ジョージ・A・アカロフロバート・シラー

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 その1から続きます・・・・
 さて、この『アニマルスピリット』をキーワードに、『八つ』の経済的な現象を解き明かします。 その一つ 『なぜ経済は不況に陥るのか?』について、以下抜書してみます。

 1890年代の不況を理解するには、アニマルスピリット理論のあらゆる要素が不可欠となる。 安心の崩壊が経済的な失敗の物語と関連するが、その物語の中には不況に先立つ年月におきた腐敗の増加の物語も含まれる。 経済政策が不公平だという感覚が高まり、消費者物価の下落の結果を理解できないという貨幣錯覚が生じる。 ・・・ どれも、この不況の理解に関連してくる。
 ・・・なぜ銀行の取り付け騒ぎが起きたのだろう? ・・・ノイス(当時のジャーナリスト)がパニックを動かしたものとして「本能」をあげているのは重要だ。 何かおかしいぞ・・・安心が低下・・・(過去の)物語が語られ、・・・・社会的な記憶が強まる・・・社会的な伝染病として爆発・・・他者の抱いた恐怖に対し、過去の銀行パニックの物語を蒸し返す・・・。
 1920年代の過熱経済から1930年代の恐慌へ: 過熱経済とは、安心が通常の範囲を越えてしまい、・・・新たな経済ブームについての物語を信じ込んでしまう状態を指す。 ・・・ 腐敗背信が増加する時期だ。 ・・・ 株価高騰が・・・楽観的な新時代物語の増幅・・・・投資家の興奮自体がこうした物語を広めるのだ。
 大恐慌・・・ 安心があまりに粉砕されてしまい、 ・・・ 低い需要すなわち低い雇用の主因は全般的な安心の喪失だ。 資本主義そのものの未来に関する本当の恐れも、この安心喪失の一要因であり、これが大恐慌を長引かせた。 ・・・ 大恐慌中の安心の低下はあまりに根深くて10年も続いた。 安心--そして経済自体--は第二次世界大戦が人々の人生における支配的な物語を完全に変え、経済を一変させるまでは回復しなかった。


 ここで取り上げられたあと七つの課題と思い切り要約した回答は以下の通りです。 これらは、経済学の「合理的判断」で一応回答が出るものですが、実際起こっていることは、それとは違った場合・説明がつかない場合があるわけで、そこで重要なのが「アニマルスピリット」という論旨です。

 ・なぜ中央銀行は経済に対して(持つ場合には)力を持つのか?・・・銀行パニックを阻止できるという「安心の物語」が生きているから。
 ・なぜ仕事の見つからない人がいるのか?・・・人間が公平さを求めるから。
 ・なぜインフレと失業はトレードオフ(どちらかを選ばなくてはいけない)関係にあるのか?・・・貨幣錯覚と公平さの相互作用である。
 ・なぜ未来のための貯蓄はこれほどいい加減なのか?・・・貯蓄の根本的な経済費用と便益になかなか眼を向けられない場合、安心、信頼、各種の警鐘や恐れ、そして人々が今日や将来の人生について語る物語に縛られるから。
 ・なぜ金融価格と企業投資はこんなに変動が激しいのか?・・・投機的市場から実体経済へのフィードバックによる安心の乗数効果と、後押し・しり込みする物語の発生。
 ・なぜ不動産価格には周期性があるのか?・・・安心・公平さ・腐敗・貨幣錯覚・物語などアニマルスピリットのほとんどが不動産市場の中心的役割である。
 ・なぜ黒人には特殊な貧困があるのか?・・・物語(「あいつら」と「おれたち」)と公平さによる。

 経済の「大きな変動」或いは「異常と思える情況の持続」は、「物語」が創造・感染・崩壊した時に文字どおり「劇的」に起る。 その物語の中心は、個のレベルでは各主体に差異はあるものの「何が合理的かというのは十分承知」した上での『安心』=「合理的な範囲を超えて信頼する」こと・・・なのでしょう。 『公平さ』・『腐敗と背信』・『貨幣錯覚』は『安心』と並列というよりも「根源的なプロット」の一部で、あくまでも、合理的な範囲を越えて、根源的プロットの組み合わせであるメタファー=「物語」を信頼してしまうこと、つまり『安心の物語』が主軸と思います。

前回抽出したこの本の本文に、
 文芸分析家は、物語にはパターンがあると論じている。 ・・・・ 劇的な状況というのはたった36種類 ・・・・ 根源的なプロットはたった20種類しかない ・・・・ それを「探求・冒険・追跡・救出・脱出・復讐・謎・競争・負け犬・誘惑・変身・変化・成熟・愛・禁断の愛・犠牲・発見・過剰の不幸・上昇・下降」と分類している。
 という記述がありました。 これから経済学は、このような「物語」のパターンを模した「メタファー理論」に行くのでしょうか・・・、そうなると面白そうですね。

 というわけで、なぜこの本に寄り道したのか・・・といえば、鹿鼎記の記事で「歴史と小説」が中断状態故です。 続きに挑戦してみます。 「小説」というより「物語と歴史」になりそうですが・・・。
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