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単純な脳、複雑な「私」単純な脳、複雑な「私」
(2009/05/08)
池谷裕二

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 脳科学のお話を著者の出身高校で講義し、それを本にしたものです。 作者の紹介(Wiki)、 HPリンク 内容はあらかじめ本にすることを前提とした講義と構成になっています。

 出身高校とは、サッカーの名門「藤枝東」(ゴン中山、長谷部、旧くは碓井・松永・・・)。
 暫くこういう毛色の本は手をつけていませんでしたが、知人が軽い脳出血を起こし、運動機能にはまったく障害がなかったものの、どうも断片的に記憶があやふやになってしまっている、ということもあり、読んでみました。 「自己対象化」なんて考えず、気軽に読めたので気分が少し晴れました。
 
 この本は四つの章にわけれおり、第一章は「全校講義」で、脳科学のエピソードでも、生徒さん(つまり我々読者)の興味を引きそうなことを断片的に展開し、続く三章で講演で目に付いた数人の生徒さんと、時間を掛けて授業のように進めていく・・・という、上手い構成です。 内容も素人にもなんとなく「解る」ものです。

 『はじめに』で、著者は
 講義の一貫したテーマは「心の構造化」です。 ここでは心を「意識と無意識を含めた能の作用全般」といった広い意味に使っています。 と書いています。 が、まあ難しく考えるずに・・・。

 そして、第一章の講義の最初で、こうまず強調しています。 
因果関係、つまり、原因と結果の関係にあるということと、見かけ上相関がある(二つの変数が連動する)ということは、似ているようで、じつはまったく違うんです。 ・・・・ サイエンス、とくに実験科学が証明できることは、「相関関係」だけだということです。 因果関係は絶対に証明できません。』
  『脳は相関が強い時に、勝手に、”因果関係がある”と解釈してしまうんですね』

 何か、日頃の自分を含めた皆の「アレレ・・?」という誤解や強論が思い浮かびます。 高校生はどう感じたのでしょうか?

 続いて、「目の錯覚」「サブリミナル効果」「恋愛と脳」などをネタにお話はすすみ、「勘」といわれるものでも、「直感」と「ヒラメキ」は違う・・というお話で第一章・全校講義は終わります。 著者によると、「直感」とは、漠然と説明が付かないもの。 「ひらめき」とは、こじ付けでも理由が説明できるもの、とされているそうで、司る脳の場所が違うのだそうです。 「直感」は、「無意識的」「自動的」「正確」な体の動作を司る(方法記憶という)部分(基底核という)、と同じ部分の働きによるものとのことです。
 つまり、「直感」は、何気なくお箸をもつのと同じように、無意識に計算された答えであり、訓練=経験の蓄積なのだそうです。 「女の直感」ってのはやはりあるそうで、経験からくる無意識の正解と言うわけで、やっぱり恐ろしいですね。

 本は、ここからが本題ですが、このペースで書いていくと終わらなくなので、章の題名が喩える著者の言いたいであろうことを、本の抜書でまとめておきます。

>第二章: 脳は空から心を眺めている
 ・「心が痛む」とおもうとき、脳はほんとに痛みを感じている。
 ・「側頭葉」のある部分を刺激してマヒさせると(注1)、写真に写っている人物が自分か他人かわからなくなる。 「脳」には自分を認識する回路が備わっている。
 ・ヒトの場合は・・・、自分を他人の視点に置き換えて自分を眺めることが出来る。・・・その能力を「自己修正」に使っている。
 ・他者の存在を意識できる・・・他者の心の理解、これが社会的行動の種。
 ・この他者モニターシステムを、「自分」に対して使えば、・・・他者から自己へという観察の投影があって、創めて自分に「心」があることに自分で気づく・・・。
 ・これは、「生物は先祖の生命機能を使いまわすことにより進化してきた」・・・脳機能の使い回し、つまり「前適応」こそが進化の真髄だ。

 第三章: 脳はゆらいで自由をつくりあげる
 ・脳は「自分のとった行動」を観察して、・・・表現を通じて自己理解に達する。 あるいは、身体状態を認知して心の内面を脚色する。
 ・自分の体が「今どんな状態か」と言う情報が、脳にとっては重要な判断材料。
 ・心臓ドキドキ・汗をかく・・・無意識の世界から生まれて、・・・その変化が再び脳に感知されて、意識に影響を与える。
 ・身体状態を説明するための根拠を過去の「記憶」に求める。・・・現状に納得のいく説明をつけていく。・・・広い意味の「アダプテイション」・・・推論。 仮説・作話・・・。


 この後、ニューロン、DNA、視覚・聴覚等の話を経て講義は続きますが、やっぱり長くなってしまったので三章の途中ですが、以降次回にわけます。

<面白ネタ>
 ・注1として『「側頭葉」のある部分を刺激してマヒさせると』とありますが、これは「TMS」という装置、(経頭蓋磁気刺激法ともいう)で、頭皮の表面から強烈な磁気をかけると、脳の一部をマヒさせることが出来るのだそうです。 例えば言語・視覚・・・・、脳には重大な影響は無いとのことです。
 これって、「点穴」で、動けなくするのとある意味「同じ」ですよね・・・。
 ・恋愛すると脳のある部分が活動するのだそうですが、そこは脳の中心部にある「テグメンタ」と呼ばれる部分で、麻薬の効果もここにあらわれるとのこと。 「快楽」を司る部分、とのことです。 ここを電気刺激する実験をすると、実験動物は「止められなく」なり、「餓死するまでそれを続ける」のだそうです。
 作者は「トリスタンとイゾルデ」の一節を引用していますが、ホントに『恋は麻薬、恋は死に至る快楽』・・・ですな。
 続きに、「Love Is The Drug」/ ROXY MUSIC ブライアン・フェリーってどうも歌詞が「言い訳っぽい」(笑)

「LOVE IS DRAG」/ ROXY MUSIC
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