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 段々本題へ。 さて、74オランダですが、簡単にチームの「コンセプト」を纏めると次の通りです。
 1)全員攻撃・全員守備。 アグレッシブにハードワーク
 2)ボールに対してプレッシャー、それ以外はカバーリング
 3)コンパクトにして戦う、シンプルにボールを動かす
 4)ボールを取られたら取り返しにいく、マイボールになった瞬間出て行く、攻守の切り替えの早さ

 どこかで視たことがありますね・・・。 そうです、某極東の国の代表監督が、インタビュー番組で語った内容ですね。
 まあそんな戯言はさておき、74年オランダは実際その通りです。

 まず、74オランダの「攻撃面」ですが、布陣にすると両ウイング在りの433(スイーパー制なので、1333が適正)です。 当時田舎の高校生の標準布陣でしたから非常にシンプルなのですが・・・その特徴は、

 A) CFの不在とそのスペースの活用(433のCFの位置を「空けておいて」「誰かが入り込む」)
 B) 3人目の裏・斜・外への動きを絡めた、少ないタッチでのパスワーク
 C) サイドチェンジと両ウイングからのシンプルなクロス


 B)C)は、今でも基本中の基本です。 トータルフットボールと評され、ポジションがない、ローテーションとかいわれましたが、相手ゴール前では、シンプルに「人が動きながら」W型を造って崩し、シュートまで行きます。 そこに「イイトコ取り」クライフがからんで、決定的チャンスにします。
 鶴翼の陣を車懸りにやるのですから、それは上杉と武田のイイトコ取りで、強いです。
 A)については、下の図と、試合の映像から・・・そして、コンセプト1)3)4)+A)B)C)をあわせた例を・・・続きで

74OA01
実際の背番号とは違いますが、ポジションを判りやすくするため、①から⑪にしてあります。
BK : ②③は、今流のSBですが、どちらかは、相手が2トップの時マンマークに付くようです。 ⑤は典型的ストッパー。 ④は、原則最後尾のスイーパー。 大会前にケガや諸事情で、④が短日のコンバート、⑤は代表新人だったのですが、その辺は後述します。
MF : 3人の攻守両面で機能する選手。 74年レギュラーは、⑥ヤンセン:"holding" midfielder、⑧ハネヘム: "passer"、⑩ニースケンス:"box to box"
FW : ⑦⑪は典型的ウイングプレーヤーではなく、中でも仕事ができる選手
そして、クライフ・・・・。 クライフは、引いて来たり、流れたりするCFではなく、「居るべき所に居る」『前線のリベロ』という言い方もありました。 そして、空けてある⑨の場所に、両ウイングやMFが入り込み、それによって出来たウイングのスペースにSBが入り込み・・・更にMFが入り込む・・・を繰り返すのが基本です。 特に南米の「ゾーンディフェンス」には効果大で、ウルグアイ・アルゼンチンを文字通り粉砕しました。

 「ポジションが無い」のではなく、又、ウイングとかCFとかがそこに居るのではなく、「そのポジションになる」わけです。 それまでそのポジションだった選手は別のポジションになるわけです。 交換・リレーというのはこのことです。
  
 具体的に、試合のシーンで特に、A)CFの不在とそのスペースの活用 (433のCFの位置を「空けておいて」そこに「誰かが入り込む」)について見てみます。
 まず図1(クリックすると大きくなります)、2次(準決勝)リーグのvsアルゼンチン戦から、
74oa3A
 画面内の同じ人物は、同じ色の丸で囲ってあります。 名前の後ろが丸の色です。
<MFが空いたCFの位置に入り込み、MFだけで中央を崩す>
① 中盤でボールを受けたクライフ(黄)が、右サイドへドリブルで突進。 ② 右ウイングが裏を取ろうとして一度ストップ、内側をニースケンス(緑)がダッシュで、空いているCFの位置へ走りこむ。 ③ クライフ(黄)はストップし、敵DFの意識をひきつける。 ④ クライフ(黄)は、DFをひきつけて、ニースケンス(緑)へ柔らかいクロスを入れる。 ⑤ ニースケンス(緑)はわずかに処理をミスるが、後ろのハネヘム(水色)へ戻す。 ⑥ ハネヘム(水色)が前を向いたところで、ヤンセン(桃色)がマーカーの裏へ移動 ⑦ ハネヘム(水色)はチップキックで浮きダマをヤンセン(桃色)へ出し、ゴール前へ走る。 ⑧ ヤンセン(桃色)はヘッドでハネヘムでなくニースケンス(緑)へパス。 ⑨ ニースケンス(緑)は走りこむハネヘム(水色)にワンタッチで落とす。 ⑩ ハネヘム(水色)は前にDF3人居るため、ヒールキックでニースケンス(緑)の前へ浮かして出す。 ⑪ ニースケンス(緑)はヘッドでそのまま走りこんだハネヘム(水色)の前にパスするが、キーパーがキャッチ・・・残念。
 御大将クライフが、「外」に引き付けて「中」を使う、両ウイング入れて6人が絡んだ崩しです。 アルゼンチンDFは、ポンポン動くボールと人を追いかけるだけです。

 次の図2は予選リーグウルグアイ戦から、
SBがCFになり中央から仕掛けて最後ウイングがクロス>
74oa2A
 ① オランダの左サイドでボールの奪い合いがあり、取ったオランダはCB経由右SBのシュルビア(黄)へ展開する。 ② シュルビア(黄)は、そのままドリブルで持ち上がり、クライフ(橙)が寄ってくる。 右外にはレップ(桃色)がウイングの位置に居る。 ③ シュルビア(黄)はクライフにはたいてそのまま「空いているCFの位置」に走りこむ。 ④ クライフ(橙)は敵DFを2人引きつけたうえ、左の選手A(緑)へパスし前進する。 ⑤ 選手A(緑)はワンタッチで、CFになったシュルビア(黄)にクサビを入れる。 ⑥ 突進してCBの手前でストップしたシュルビア(黄)は、前進してきたクライフ(橙)に落とす。 ⑦ 敵DFもさすがクライフ(橙)に詰めるが、クライフは右外にワンタッチでパスする。 ⑧ レップ(桃色)がフリーで受け、シュートも有りだがドリブルで突っかけ、DFをひきつける。 ⑨ レップ(桃色)は縦へ抜け、ゴール前に速いグラウンダーのボールを入れる。 決定的チャンスです。

 ニアに飛び込んだクライフは僅かに合わず、ファーの選手も間に合わず・・・残念。 クライフは「もっと正確にクロスを入れろ!」と怒ってるのでしょうか? クライフの最初の位置は、今流に言えばCMFですね。

 さて最後図3は、vsアルゼンチン戦。
オランダ11人全員が自陣ゴール前に居るところから、サイドチェンジ2回を使った攻撃
74oa1A
 ① セットプレー崩れか?それとも流れか?、オランダゴール近辺にはオランダの選手が「全員」いる。 現在でも珍しいですね。 敵はオランダ左サイドから崩そうとする。 ② オランダは、2人(多分、ニースケンス(桃色)・ハネヘム(水色))が奪いにいき、敵も1人サポートに来るが、ニースケンス(桃色)が奪って、レンセンブリンク(緑)にパスする。 ③ レンセンブリンク(緑)は、ドリブルで持ち上がります。 まだ敵のDFは寄せてきません。 そして、併走するニースケンス(桃色)・ハネヘム(水色)ではなく、その先の上がってくるクライフ(画面になし)へ横パスをする。 ④ 受けたクライフ(橙)は、少々「タメて」右ウイングへパスする。 ⑤ 右ウイングは、ワンタッチで上がってくるSB(黄)へ戻す。 ⑥ SB(黄)はドリブルで中へもち上がり、クライフ(橙)の先のニースケンス(桃色)へパスする。 ⑦ 敵もDFゾーンに入ってきたので「ツメ」てくるが、ニースケンス(桃色)はワントラップで左のレンセンブリンク(緑)へパスする。 ⑧ その時、ハネヘム(水色)が、レンセンブリンク(緑)の内側をオーバーラップし、バックラインの手前まで進出する。 ここでオランダ2対敵1 ⑨ レンセンブリンク(緑)はドリブルで仕掛け、敵DF2人をひきつけた上で、ポストになっているハネヘム(水色)へパスする。 そして更に前進する。 その時ゴール前にはニースケンス(桃色)が入り込んでいる。 ⑩ ハネヘム(水色)は切り返しシュートを狙うがDFにからまれ、ボールは走りこんだレンセンブリンク(緑)の前へこぼれる。 敵DF(白)はニースケンス(桃色)のマークを外し、ボールにチャレンジするも、レンセンブリンク(緑)が先にマイナスのパスをノーマークになったニースケンス(桃色)へおくる。
 これは、⑩のこぼれたボールがパスと看做されオフサイドになった・・・残念。
 多分、人名は合っていると思いますが、もし、①の画で、レンセンブリンクでなく、クロルがそこに居れば、そのまま上がって行くのが74年オランダでした。

 オランダの選手は、ボールを奪った位置から、どうも「約束された相手ゴール前の場所」へ進出しているようです。 その際、ボールは、相手の守備の状況をみながら、誰かがいるであろう処へ繋いでいく・・・そんな流れです。 そして、ペナルティエリア角をコンビで崩すという、最も有効な仕掛けまで持っていくようです。

 以上3件の図で、前記の74オランダのエッセンスが感じられる事例を取り出してみました。 今は、DFの厳しさが格段に違う・・・、もっとタイトに、コンパクトに、プレスが掛けられるよ! というご意見もあると思います。 しかし、現在でも、この方法は、基本中の基本で、ある程度の「約束事」「おおまかなパターン」として、「摺り合せ」「造りこみ」のベースに有効ではないかと思います。

南米3カ国との試合のハイライトはこちらから・・・。
2-0 vsウルグアイ 7、8点入ってもおかしくない完勝。 予選第一戦で「世界を驚かした」
http://www.youtube.com/watch?v=M5YLG57a2GE
4-0 vsアルゼンチン アルゼンチンも抵抗を試みるが、一方的に圧倒され完敗。 
http://www.youtube.com/watch?v=kd8zi-DZSnQ
2-0 vsブラジル 2次リーグ勝ったほうが決勝進出の「ドツキアイ」を、オランダか「攻守の切り替えの早さ」による2点で制す。
http://www.youtube.com/watch?v=ZTs2iwMqVMg

次回は、こういった役割交換・リレーも、「マンツーマン」ディフェンスで付いてこられたら苦戦するのでは?という例と打開策をみてみます。

 74オランダの、予選から本戦までの記録と「物語」は、このサイトがよくまとまっています。 (リンク) 特に予選と、準備試合のメンバーとチーム造りの流れが載っていまして参考になりました。
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