フットボール「記憶と錯覚の物語」その20 あの頃のアヤックスvsフェイエ

 この記事から続きます・・・
 74年WCに至る数年間のアヤックスフェイエノールトをDVDで観ながら辿ってきましたが、敢えて「ステロタイプ」に比較すると、以下の通りです。
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 以下、 『A』=アヤックス  『F』=フェイエノールト で略します。

 イメージとしては、『A』は、「相手かまわず自分のやり方を通す」。 『F』は、「相手に合わせて自分のやり方を決める」、みたいな雰囲気ですが、『A』も、その試合の位置づけで、72年アーセナル戦のように、カテナチオに徹する時も有りましたね。

 選手のタイプですが、少々わかりづらいと思います。 『A』は、徹底した「ポジションチェンジ」「役割交換」を前提としているので、所謂「ポリバレント」(オールラウンダー)が重宝されます。 また、「役割重視」とは、陣形のポジション別にやるべきプレーがある程度「定型化」しているので、左SBの位置に居る選手が、ドリブルでゴール前まで突破、ワンツーなどは、余りありません。 シュルビアがゴール前にいるのは、FWになったシュルビアです。 ’72年以降監督がコバチになり、選手の自由度は上がったようですが・・・。
 『F』は、まず、その選手の個性が最大限に発揮されるような陣形と戦術を組むようです。 そういう意味での「個性重視」、その選手が「出来ることを目いっぱいやれば」チームが機能する、「スペシャリスト」集団です。 その典型がハネヘムであり、且つ「オールラウンダー」が何人かいて、その代表がヤンセンです。

 まあ、陣形はお遊びですが、『A』は、車懸かり(ポジションチェンジ)多用の、鶴翼の陣(U字型4−3−3)。 『F』は、雁行(左サイド前がかり)で、鋒矢(コレクティブ・カウンター)の陣へ変形。 というところでしょうか。 陣形の絵はこちらから・・・

 攻撃原則は、この表現はあまりにもステロタイプですが・・・、『A』のポゼッションは、今風の「ボールをキープしてスキをついて」でなく「多所有(ポゼッション)多消費」型、つまり、ドンドン攻めろ、それにはボールを奪え・・・というポゼッションです。 『F』のリアクションも、失点しない為先ず守る、という事ではなく、対敵最適手段を選択するという結果、効率がよく選手が得意なのは「カウンター」になる、ということと思います。 

 守備原則は、『A』が、相手陣に全員が入り込む前提ゆえ、ハーフラインから自陣側を、「オフサイド」で殺してしまう、前もって相手選手に入らせない、という原初的「オフサイド・タクティックス」です。 また、自陣まで引く時も、「押し上げ・オフサイドトラップ」を随時行っていました。 素人目には非常に「リスキー」ですが、所謂「トレードオフ」での選択だったのでしょう。
 一方『F』は、自陣「ペナルティエリア手前」とか、あるゾーンに相手が入ってきたとき、複数の人数でボールを奪いに行くという、原初的「ゾーンプレス」を得意としていたようです。 四六時中追い回し、はせず、ゲームプラン・戦況で、防ぎ処=ボールの奪い処を、選択しているようです。 こっちは「確率」でしょうかね・・・。

 最後にキープレーヤーですが、『A』は、今風には「ハードワーク」の「チームプレー」が看板で、原則は「個の力」に頼らないチームな為、相手に上手く守られると「自分のサッカーをしているのに結果が出ない」という「罠」に嵌りやすいのです。 しかし、クライフという不世出の選手が、勘所で決定的プレーをする、ことにより、チャンピオンズカップ3連覇という結果が出たと思います。 また、割と「定型的」なプレーに「後ろから変化」を与えていたのは、スイーパーというかリベロのヴァゾヴィッチだったと思います。 彼が、臨機応変に「前後」に位置取りを変え、ゲームを造っていました。 ヴァゾヴィッチ自身が、この本で、「トータルフットボールを造ったのはミケルスで、確立に最も貢献したのは私だ」(P76)と、語ったようですが、71年のセルチック戦などを観ると、ハッタリではないと感じます。 ヴァゾヴィッチがユーゴ人で、その後継者ブランケンブルグもドイツ人だったというのは74年オランダ代表の「弱点」になったのではないかと思います。 この辺は後ほど・・・。
 『F』は、やはり、画面に最も現れて攻守の「軸」であるハネヘムと、 クライフの派手さとは裏腹の、勘所で「何処にでも現れてサポートする」ヤンセンです。

 この時代のアヤックスvsフェイエの「実践」映像を観たいと思っていますが、中々見つかりません。 続くにほんの僅かの画像を貼っておきます。
 また、’73年チャンピオンズカップのアヤックスvsバイエルン・ミュンヘン戦。 これは、結果4−0でアヤっクスがバイエルンを粉砕し、どうも74年大会への「妙な自信」になった試合です。 ベッケンバウアーがクライフにヘディングで完璧に競り負け点を取られています。 更に’73年決勝ユベントス戦、スーパーカップで、ACミランを6−0で叩きのめしたダイジェスト映像も貼って置きます。

 さて、次回は、この一見「対照的」な両チームをどう融合させて74年代表チームが出来たか・・・です。 アヤックスのやり方を単純コピーし、フェイエの選手はそれに合わせたわけではない、ことを書きたいと思います。


 アヤックス 1−3  フェイエ (May '72)得点シーンのみ、フェイエ3点目のロングシュートはヤンセン?


 ’73チャンピオンズカップ アヤックス4−0バイエルン 全5パート

 Part2  Part3  Part4  Part5
 面白い試合です。 内容は、そう一方的では無いのですが、肝心なところでアヤックスに点が入ってしまった、という感じです。

 ’73年チャンピオンズカップ決勝 アヤックス1−0ユベントス


 ’74スーパーカップ アヤックス6−0ACミラン

 ’69決勝のリベンジと言う所でしょうか・・・。 そう、クライフはバルサに移籍してもういません。

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年齢:「天命」を知る「はず」の歳を超えました。
ブログ名:「漠々糊々」は司馬遼太郎の「街道を行く・びんの道」の一節からいただきました。 「行動しなくてはいけない時に、惰眠を貪ること」の意。 
副題「千言和萬語,隨浮雲掠過」はテレサ・テン、フェイ・ウォンの名曲「千言萬語」の一節。 グタグタ沢山モノを云っているが、何の意味もないよ・・・ってことです。

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