| Home |
2011.01.16
『倚天屠龍記』 悪女列伝・第4回 追憶毒鬼「蛛児(阿離・殷離)」
『倚天屠龍記』の悪女列伝。 今回は「蛛児(阿離・殷離)」(リンクWiki)(リンク百度)です。
今回はドラマでこの数回「ウザイ」演技(女優さんは中々がんばっていたと思いますが、脚本・演出全くダメ)がをみせてましたが、もう出自・経歴もネタバレになりました。
彼女の人物設定は、手が込んでいて上手い、面白いキャラクタだと思っています。
今回はドラマでこの数回「ウザイ」演技(女優さんは中々がんばっていたと思いますが、脚本・演出全くダメ)がをみせてましたが、もう出自・経歴もネタバレになりました。
彼女の人物設定は、手が込んでいて上手い、面白いキャラクタだと思っています。
「蛛児(阿離・殷離)」は、明教から分裂した天鷹教・教主「殷天正」の息子「殷野王」の正妻の娘です。 つまり、「張無忌」とは従姉弟になります。
まあ、これまでの彼女の人生は凄まじい。 小説第16章から、蛛児の科白抜書きです(斜字)
「名字はないの」
「父さんはあたいを憎んでるから、見つかったら殺されるわ。 父さんの名字を名乗れないでしょ? 母さんはあたいが殺したんだから、母さんの名字も名乗れない。 こんなに醜いんだから、醜娘とでも呼んでくれたらいいわ」
「・・・あたいを生んだ母さんは父さんの本妻なんだけど、男の子が生まれないんで、妾をめとったの。 そしたら兄さん二人が生まれたんで、妾ばかりかわいがってた。 母さんはそのあとあたいを生んだけど、あいにくまた女だったというわけ。 妾は父さんにかわいがられてるもんだから、あたいも母さんも、ずっといじめられてた。 兄さんたちもひどくて、一緒になって母さんをいじめてたから、母さんはいつもこっそり泣いていたわ。 ねえ、どうしたと思う。」
「でも父さんも妾の味方をしていたの。 あたい、我慢できなくって、妾をバッサリやっちゃったんだ」
「母さんはあたいが騒ぎをおこしたので、あたいを連れて逃げたの。 でも兄さんたちが追ってきて、あたいをつかまえようとしたんだ。 母さんも防ぎきれなくなって、あたいを逃すために首を吊って死んだの。 わかったでしょ、母さんはあたいが殺したことになるし、父さんがあたいを殺そうとしているわけが」
父殺し・母殺し(コンプレックス)の物語、強烈な「エピソード記憶」です。
道行の途中で、蛛児は蜘蛛の毒を取り込む修行を続けていて、その度に顔の浮腫が増え醜くなります。 この武功が「千蛛万毒手」です。 (ドラマでは急に浮腫がなくなりましたが、では最後どうするんでしょう?(笑))
さておき、小説から科白引用を続けます。
「・・・かあさんはね、あたいに「千蛛万毒手」を教えてくれたの。 それにちなんでこの名前をつけたのよ。」
「千蛛万毒の毒を練るとね、二十匹あたりでもう、体内に毒がたまって、顔が変形し始まるの、千匹も使うころには、このうえなく醜い顔になってしまうんだ。・・・・母さんは、醜くなって父さんに嫌われるのを恐れ、涙を呑んで畢生の技を諦め、鶏も絞め殺す力もない平凡な女になってしまったの。・・・・そして母さんは、妾とその子供に虐められても、刃向かうことすらできなかった。 そして結局自らの命を絶ってしまったんだわ・・・」
「武功は無数にあるでしょうけど、この千蛛万毒に対抗し得る門派があると思う?・・・・あたいの技が完成したら、あんたなんかこの指ひとつでお陀仏よ」
金庸の小説では『神雕侠侶』の「情花の毒」で書かれていたように、「毒」は「情」のメタファーです。
ここでも、「母を殺し」「父に殺され」てしまうことによりその「情」を失った蛛児が、母自身は全否定しつつも彼女に残した唯一のもの「千蛛万毒」の修行により、得られなかった「毒」(情ですね)をなんとか得て、「武林一の武功」=「世界一の幸せもの」になりたい。 そういう彼女の「生き様」が読み取れます。 また、蛛児が外見の「美」を失っても「毒」を得ようとするのは、外面の「美しさ」を得る為、内面の「情」=毒を捨てたものの、結果全てを失った母を否定することでもあります。
武侠小説ですから「千蛛万毒手」がメタファーですが、学園小説なら母の残した「チェロ」と思い出の「ブラームスの曲」にでもなるのでしょう。
その彼女が「夢想」する「追憶」の「情」の対象が、胡蝶谷での張無忌です。 それもわざわざ「噛まれて」います。 修行では「毒蜘蛛」に噛まれる・・・、「千蛛万毒」は、「虐めに負けない強い(くあって欲しかった)母の情」であり、彼女が山中を探し回る修行用の「毒蜘蛛」は、所詮手に入れることの出来ない「張無忌」の代替でもあるんですね。
張無忌は自らの名前を隠し「曾阿牛」と名乗りますが、蛛児は「張無忌」の追憶を「曾阿牛」に感じてしまいます。 朱九真の犬に阿牛が「噛まれた」故、朱九真を「殺して」しまったり、阿牛に「言い逃れ」とはいえ「一緒にいてくれ」と云わせようとしたり・・・。 「夢想」と「現実」の境界領域にしばしば入り込んでしまいます。
そして、明教と六大門派の戦いに巻き込まれる中で、実は張無忌を追いかけてここまで来たことを語ります。
「無忌が死んだ・・・」と「無忌の母は叔母」と聴かされた時の、彼女の表情と演技は、「努力賞」ですね。 実の父と再会では、あいかわらずタメ口きいていますが、「父に殺される」ほどまでは関係はこじれてはいないようです(笑)。
さて、ここからどうなる「蛛児」さん・・・ですが、次の登場は暫く後になります。
これまでの「倚天屠龍記」で「蛛児(阿離・殷離)」を演じてきた皆さんです。
今回演ずるは「張檬」さん。 何処かでみたと思ったら、日中合作ドラマ「蒼穹の昴」で「珍妃」役でした。 珍妃は、マザコン皇帝光緒帝が最も寵愛、「情」を注いだといわれますが、西太后との関係などみると、光緒帝にとってはホンモノの「毒」だったかもしれません。
『倚天屠龍記』(wiki) (中文wiki) (百度) DVDMAXAMHP MAXAM予告編 (中文原作) NECO特設HP
まあ、これまでの彼女の人生は凄まじい。 小説第16章から、蛛児の科白抜書きです(斜字)
「名字はないの」
「父さんはあたいを憎んでるから、見つかったら殺されるわ。 父さんの名字を名乗れないでしょ? 母さんはあたいが殺したんだから、母さんの名字も名乗れない。 こんなに醜いんだから、醜娘とでも呼んでくれたらいいわ」
「・・・あたいを生んだ母さんは父さんの本妻なんだけど、男の子が生まれないんで、妾をめとったの。 そしたら兄さん二人が生まれたんで、妾ばかりかわいがってた。 母さんはそのあとあたいを生んだけど、あいにくまた女だったというわけ。 妾は父さんにかわいがられてるもんだから、あたいも母さんも、ずっといじめられてた。 兄さんたちもひどくて、一緒になって母さんをいじめてたから、母さんはいつもこっそり泣いていたわ。 ねえ、どうしたと思う。」
「でも父さんも妾の味方をしていたの。 あたい、我慢できなくって、妾をバッサリやっちゃったんだ」
「母さんはあたいが騒ぎをおこしたので、あたいを連れて逃げたの。 でも兄さんたちが追ってきて、あたいをつかまえようとしたんだ。 母さんも防ぎきれなくなって、あたいを逃すために首を吊って死んだの。 わかったでしょ、母さんはあたいが殺したことになるし、父さんがあたいを殺そうとしているわけが」
父殺し・母殺し(コンプレックス)の物語、強烈な「エピソード記憶」です。
道行の途中で、蛛児は蜘蛛の毒を取り込む修行を続けていて、その度に顔の浮腫が増え醜くなります。 この武功が「千蛛万毒手」です。 (ドラマでは急に浮腫がなくなりましたが、では最後どうするんでしょう?(笑))
さておき、小説から科白引用を続けます。
「・・・かあさんはね、あたいに「千蛛万毒手」を教えてくれたの。 それにちなんでこの名前をつけたのよ。」
「千蛛万毒の毒を練るとね、二十匹あたりでもう、体内に毒がたまって、顔が変形し始まるの、千匹も使うころには、このうえなく醜い顔になってしまうんだ。・・・・母さんは、醜くなって父さんに嫌われるのを恐れ、涙を呑んで畢生の技を諦め、鶏も絞め殺す力もない平凡な女になってしまったの。・・・・そして母さんは、妾とその子供に虐められても、刃向かうことすらできなかった。 そして結局自らの命を絶ってしまったんだわ・・・」
「武功は無数にあるでしょうけど、この千蛛万毒に対抗し得る門派があると思う?・・・・あたいの技が完成したら、あんたなんかこの指ひとつでお陀仏よ」
金庸の小説では『神雕侠侶』の「情花の毒」で書かれていたように、「毒」は「情」のメタファーです。
ここでも、「母を殺し」「父に殺され」てしまうことによりその「情」を失った蛛児が、母自身は全否定しつつも彼女に残した唯一のもの「千蛛万毒」の修行により、得られなかった「毒」(情ですね)をなんとか得て、「武林一の武功」=「世界一の幸せもの」になりたい。 そういう彼女の「生き様」が読み取れます。 また、蛛児が外見の「美」を失っても「毒」を得ようとするのは、外面の「美しさ」を得る為、内面の「情」=毒を捨てたものの、結果全てを失った母を否定することでもあります。
武侠小説ですから「千蛛万毒手」がメタファーですが、学園小説なら母の残した「チェロ」と思い出の「ブラームスの曲」にでもなるのでしょう。
その彼女が「夢想」する「追憶」の「情」の対象が、胡蝶谷での張無忌です。 それもわざわざ「噛まれて」います。 修行では「毒蜘蛛」に噛まれる・・・、「千蛛万毒」は、「虐めに負けない強い(くあって欲しかった)母の情」であり、彼女が山中を探し回る修行用の「毒蜘蛛」は、所詮手に入れることの出来ない「張無忌」の代替でもあるんですね。
張無忌は自らの名前を隠し「曾阿牛」と名乗りますが、蛛児は「張無忌」の追憶を「曾阿牛」に感じてしまいます。 朱九真の犬に阿牛が「噛まれた」故、朱九真を「殺して」しまったり、阿牛に「言い逃れ」とはいえ「一緒にいてくれ」と云わせようとしたり・・・。 「夢想」と「現実」の境界領域にしばしば入り込んでしまいます。
そして、明教と六大門派の戦いに巻き込まれる中で、実は張無忌を追いかけてここまで来たことを語ります。
「無忌が死んだ・・・」と「無忌の母は叔母」と聴かされた時の、彼女の表情と演技は、「努力賞」ですね。 実の父と再会では、あいかわらずタメ口きいていますが、「父に殺される」ほどまでは関係はこじれてはいないようです(笑)。
さて、ここからどうなる「蛛児」さん・・・ですが、次の登場は暫く後になります。
これまでの「倚天屠龍記」で「蛛児(阿離・殷離)」を演じてきた皆さんです。
今回演ずるは「張檬」さん。 何処かでみたと思ったら、日中合作ドラマ「蒼穹の昴」で「珍妃」役でした。 珍妃は、マザコン皇帝光緒帝が最も寵愛、「情」を注いだといわれますが、西太后との関係などみると、光緒帝にとってはホンモノの「毒」だったかもしれません。
『倚天屠龍記』(wiki) (中文wiki) (百度) DVDMAXAMHP MAXAM予告編 (中文原作) NECO特設HP
Mario
>普通のことなんですけどねえ、昔の中国では。
この辺も意図的に設定しているかも・・・? 世間では「普通だよ」に「本人は耐えられない」・・・。
この辺も意図的に設定しているかも・・・? 世間では「普通だよ」に「本人は耐えられない」・・・。
2011/01/18 Tue 20:23 URL [ Edit ]
阿銀
79年度版以外は美人女優ですね、阿離役。
男子を産まないから妾をもらった。
本妻より若い(たぶん)妾の方を男は可愛がる。
と普通のことなんですけどねえ、昔の中国では。
今も?(爆)
ま、阿離が父の愛人を憎く思うというのはすこ~し
わかるかな?
特に思春期だとその想いはかなり強いですね。
私も腹違いの兄弟が外国に大勢いるようなので…(大爆)
そういえば、阿離の義兄はどうしたんでしょ?
男子を産まないから妾をもらった。
本妻より若い(たぶん)妾の方を男は可愛がる。
と普通のことなんですけどねえ、昔の中国では。
今も?(爆)
ま、阿離が父の愛人を憎く思うというのはすこ~し
わかるかな?
特に思春期だとその想いはかなり強いですね。
私も腹違いの兄弟が外国に大勢いるようなので…(大爆)
そういえば、阿離の義兄はどうしたんでしょ?
2011/01/18 Tue 01:00 URL [ Edit ]
| Home |