上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 3月9日付けの新刊です。 題名からして、井波先生もとうとう武侠ワールドに・・・? 現代中国黒社会の実録(笑)・・・と思いましたが、内容は、「侠」の視線で中国史・中国文学史の概略を綴ったものです。

中国侠客列伝中国侠客列伝
(2011/03/09)
井波 律子

商品詳細を見る


 取り上げられている「侠」は、「趙氏孤児」から始まり、『秋風秋雨、人を愁殺す』の「秋瑾」まで、南北朝までは史書などに登場する「歴史上の侠」を、後半は水滸伝など「物語世界の侠」で・・・ともう「侠」のてんこ盛り。 挿絵も連環絵などから採ってきていて美味しいです。
 残念ながら、以前に記事にした陳舜臣先生(リンク)ほど「侠」への想いは書き込まれておらず、「もっと井波先生暴れてよ・・・!」と思うのですが、まあ次から次へと出てくる人物・エピソードを堪能。 特に、我国ではあまり眼にしない「桃花扇」(リンク)をジックリ紹介していて歓喜です。
 お勧め・必読です。 内容は下記下線部目次をご参考まで。 気になったところの抜書きと感想を少々。

はじめに
 井波先生は、「侠」を「あくまでも信義を守り、果敢に行動する」こと、としています。 陳舜臣先生(リンク)が「侠者だけが孤軍奮闘、この世界を揺すぶりつづけてきた・・・侠は依然として起動の引き金」と書かれたより、広範囲で柔らかい感じです。 ただ、文中で、「忠」と「侠」の差異について、譚嗣同の例を挙げ「」は「固定した上下関係、君臣関係を規定する「忠」の理念の強制力」によるもの。「」は「なんらかの「義」にもとづく行為に踏み切るにさいし、まず個人の自由意志によって、何をなすべきか選択する」もの。 と書かれています。 「自由意志」という言葉に引っかかりはあるものの、ズバリと思います。

 実の部 歴史上の侠
 第一章 輩出する侠者たち・・・春秋戦国時代

 1.趙氏孤児をめぐって

   最近陳凱歌監督が映画化(リンク)しています。 葛優 王學圻 黄暁明 范冰冰 張豊毅 鮑国安 ・・・キャストは素晴らしい。 ネットの情報では「捻りすぎ」という感想があるようですが、是非観てみたいですね。
 2.五人の刺客
   ここでは、ご存知史記「刺客列伝」の5人、曹沫、専諸、豫譲聶政荊軻 が紹介されています。 やっぱり、一番の「侠」聶政の姉さんですね。
 3.戦国四君
   有名な戦国四君「孟嘗君」「平原君」「信陵君」「春申君」。 ご存知・ご承知エピソードです。
 第二章 替わり行く遊侠無頼・・・漢代
 1.劉邦と遊侠

   単独者としての「侠」から、既成の国家体制そのものに刃を突きつける劉邦達「侠」の軍団へ・・・
 2.「遊侠列伝」
   史記の「遊侠列伝」の朱家郭解を取り上げ、「侠」の変質について記しています。
 史記の「遊侠列伝」における「侠」への称揚が、班固著「漢書」では、「武帝以降の時代の遊侠を「匹夫の細を以て、殺生の権を窃む(地位もない人間の数ならぬ身で。生殺の権限を盗む)者として、遊侠をばっさり断罪する」。 つまり、「儒者が文をもって法を破る」側から体制側になったことにより、儒者が記録(史書)する「侠」は禁忌なるものに変質していくのですね。
 とはいっても、後漢書には、望門投止の張倹を匿った無数無名の人々がいたとかかれています。
 3.反乱する侠・・・後漢
  光武帝の「軍団」は「侠」ではなく「同郷」「利害」の軍団であり、「諸将帥は皆儒者の気象を有す」こととなった。
 第三章 三国志の英雄・・・三国六朝時代
 1.群雄割拠のなかを戦う・・・後漢末から三国鼎立へ
 三国志こそ、劉備・関羽・張飛・孔明(少々異議ありとしても)はじめ「侠」のてんこ盛りなのですが・・・。 しかし、正史では「侠」という言葉は、史記から完全に変質し、唯の「乱暴者」という意味でしか使われていないそうです。 少々長めの抜書きです。
  陳寿著「正史三国志」は、劉備が「豪侠」との交際を好んだとは記しているものの、劉備自身が「侠」だったとは一言も述べていない。・・・・実は「正史三国志」においては、曹操のほか「侠」と形容される人物は、なんとあの暴虐非道の董卓、箸にも棒にもかからないエセ群雄の袁術等々なのである。・・・・「正史三国志」で用いられる「侠」の字義には、「派手な暴力的ポーズで人を威嚇し、威勢をふるう」といったむしろ負性のニュアンスがあるといえよう。
 ということで、「侠」は史書からも抹殺され、字義も変質してしまったわけです。
 2.流民軍団の長・・・西晋末から東晋初期
 祖逖郗鉴が取り上げられていますが、今ひとつ・・・です。

 そして、(記録としての)歴史から抹殺された「侠」は、物語の中で・・・という、後半の虚の部 物語世界の侠は次回とします。
Secret

TrackBackURL
→http://mariott.blog21.fc2.com/tb.php/762-d5e72023
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。